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籔から棒

​やぶからぼう

 藪から棒とは、藪から突然棒が突き出るという意味で、誰かがなんの前触れもなくことを起こしたり、それまでとは脈絡のない話を持ち出したりして、驚かされたときに「藪から棒な話だな」のように使う。古くは「藪から棒が出る」「藪から棒を突き出す」とも言ったが、いまは「籔から棒」と略して使われている。確かに突然籔から棒が突き出たらびっくりするが、誰が何の目的で籔から棒を突き出すのかその真意がわからず、この句そのものが「籔から棒」である。江戸時代前後から使われ始めた言い方のようで、敗走中に落ち武者狩りの農民の槍に突かれて死んだとされている明智光秀について「槍じゃなくてせめて籔から棒だったらよかったのにね」という意の川柳が残されている。この句の古い例で1589年の狂歌に「竹の子を盗まれしとてする警固籔から棒をつきたいて持て」というのがある。タケノコを盗っ人から守るために竹藪から長い棒を突き出しているガードマンの姿を言ったものだが、明智光秀の最期は1582年だから、もしかしたらほんとうは「籔から槍」というのが本歌で、それではあまりに物騒だから「棒」に変えて一般化したのではないかという邪推もできそうだ。(VP KAGAMI)

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