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揚げ物、揚物

あげもの

 揚げ物(揚物)とは、野菜や魚肉などを油で揚げること、また、その揚げた料理のことで、天ぷら、からあげ、素揚げ、カツレツ、フライなどがあり、具材の種類も豊富である。日本人は火を通さない魚肉や野菜を好む一方で、揚げ物にも目がなく、独自の揚げ物文化を築いている。

 揚げ物は、他では得られない独自の味わいを具材に加える調理法であるが、そのカギは、油と衣にある。油はそれ自体のうまみはさておき、具材のうま味を強調し、引き立てる効果があるそうで、明治時代以降西洋の揚げ物の技術が導入されると、日本人は獣脂を主とした油のうま味に目覚めた。一方、衣のうまみについては、それが穀物であり、油で揚げ色がついているところがミソであると考える。これは、おかずにご飯(焦げているご飯がまたうまい)を添えて食べる日本人の好みに合致している。つまり揚げ物は、それ一品で「蒸し焼きポーク+トーストしたパン=とんかつ」みたいなうまみを提供しているのだと考えられる。

 揚げ物のうま味に気づいた日本人は、とりあえずなんでも衣をつけてあげてみようという好奇心にかられ、さまざまな具材が試された。彩りゆたかな天ぷらや串揚げ(串かつ)はその好奇心の産物である。ある天ぷら屋にはアイスクリームの天ぷらまであるが、そんなものが製作可能だという驚きはもとより、味わうとそのマッチングの妙に驚かされる。しかし素材から考えてみれば、アイスクリームをコーンに乗せて食べているのとほぼ同じ組み合わせであり、うまいのはあたりまえなのである。(KAGAMI & Co.)

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