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嫁、よめ

よめ

 嫁(よめ)とは、息子の妻を親の立場から言う語で、婿(むこ)の対義語。また、お嫁さん、花嫁のように、結婚式で最も幸せを感じている(はずの)女性、新婚の女性一般をもいう。さらに、関西地方では「妻」のことを「よめ」と言っている。漢字の「嫁」は「嫁ぐ(とつぐ)」つまり、女性が結婚して他家の者になるという意味なので、家に嫁いで来た人、嫁いできたばかりの人という意味の「よめ」にこの漢字があてられたものと考えられる。

「よめ」の語源は諸説あり不詳。落語では、目が二つある婿のところへ目が二つある嫁が嫁いで来るので「四目(よめ)」だという説を披露しており、こんな説がまぎれこんでもおかしくないほど多くの説があるが、「め」は、女性を意味する「女(め)」であることは間違いなさそうなので、落語の説は却下される(当たり前だが)。この言葉については、家に呼んだ女だから「呼び女」だとか、弱い(立場の?)女だから「弱女(よわめ)」だとか、良い女だから「良き女」など、言いたい放題の拙が乱れ飛んでいるが、中には、夜にお殿様の相手をするから「夜女」だとする、「夜鷹(よたか:江戸時代、路上で売春していた女性)」か「よめ」かというような不届きな説もある。

 漢字の「嫁」は「嫁ぐ(とつぐ)」という意味で、日本語の「嫁(よめ)」の意味はないようだ。中国には、「よめ」のように「息子の妻」をひとことで表現する言葉はないらしく、「息子の妻」とそのまんま説明しなければならないらしい。英語でも「義理の娘」というような、裁判所で説明しているみたいな面白みのない言い方しかなく、息子の妻という意味の「よめ」は珍しい言葉なのかもしれない。

 ところで「嫁」には、「嫁ぐ」のほか、「転嫁」と使われるように「人のせいにする」という意味があり、よほどひどい嫁を押し付けられたのかと勘ぐりたくなるが、そういうわけではなく、うまいことを言って品物を売りつけるというような意味の「賈」という字と音が似ているので、採用されているにすぎないようだ。そんな意味で使われると、やはりどうしても、他人に押し付けたくなる鬼嫁を思い浮かべてしまうのは私だけだろうか。

​(VP KAGAMI)

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