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関連用語
山葵、ワサビ
わさび
山葵、ワサビとは、日本独特の香辛料、およびその原料となるアブラナ科の多年草。野生のワサビは山間の渓流に棲息するが、冷ややかな空気のもと、きれいな水を飲んでわがままに育っているので、おそらく他の環境では育たず、しかたなく同様の環境を人工的に作って養殖されている。茎や花まで食用に使えるが、香辛料としては根茎をすりおろして使う、寿司や刺し身には欠かせない友となっている。トウガラシもワサビも食べると“辛い”が、舌を刺激するトウガラシと違い、鼻腔を刺激するのがワサビで、同じ「辛い」という表現を使うのには抵抗がある──と、私が言っても、なんの効果もないが──。
握り寿司の元祖としてよく名が上げられている江戸後期の寿司職人・華屋與兵衞(はなやよへえ)は、握り寿司そのものの元祖かどうかはさておいて、握り寿司にワサビを合わせて提供した元祖であることは確かなようで、それだけでも寿司の共同開発者として表彰してもいい存在だといえる。
ワサビの語源は不詳だが、わが師『大言海』は、ワルサハリヒビク(悪障響)と、あいかわらず笑わせてくれる説を提供している。ある説では、「走る」と同じ意味の古語に「わしる」があり、「ワサ」はその「走る」で、鼻に走る辛みを表現し、「ビ」は「実」だとしていて、いちばんもっともらしい。不詳ついでに私説を述べると、「ワサ」は「走る」で、「ビ」は鼻にビビっとくる痛みを表現する擬態語で、鼻にビビッと痛みが走るのが「ワサビ」だというのはどうでしょう。
©校長のかがみ