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投資

とうし

 投資とは、将来の利益を見込んで、事業や債券などに現金資金を支出すること。早い話、少しばかりギャンブル性があってわれわれの射倖心(一攫千金を夢見る心)をくすぐる預金。ただの銀行預金は金額(実質的な価値がどうかは別)が減ることはないが、投資の場合は預金よりは儲かることも多い一方で、損をする可能性もある。さらにボロな投資話に乗っかってしまえば元手さえ失う。そのような、いちかばちかのギャンブル性の高い投資を、「投機」と呼んで「投資」と区別するが、その境界はあいまいである。それもそのはずで、投機性の高い商品も営業マンに言わせれば「ぜったいソンはしませんって。ぼろ儲け間違いなし」ということになるから。

 インフレーションが進んで貨幣価値が下落する世の中では、普通は人々の投資意欲が活発になるが、日本人は全般的に投資への関心が低い。考えてみれば「投資」にせよ「投機」にせよ、資金を「投げて」しまっていることにはかわりなく、大事なものは手元に置いておきたいという心情が強い日本人は、せっせとタンス預金に励むのであろう。

「投資」は英語investmentの訳語として、明治時代後期から使われていた。英語のinvestmentは、正式な服を着せるという意味の語源を持つinvestを名詞化した語。investは17世紀頃から「お金を使って利益を生み出す」という意味で使われるようになったが、これは「元手に新しい価値をまとわせる」といったなぞかけにより整ってしまった使い方と考えられる。そのinvest+mentを訳したのが「投資」だが、古い中国語には見当たらない熟語なので、日本で作られた語とみられる。investに比べて、「資本を投げる」というなんだかなげやりな訳語だが、訳者の「その心は」がどこにあったのかは、調査不足により不明である。

​(VP KAGAMI)

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