パクチー

ぱくちー

 パクチーとは、「道草を食う」という例え話を実践してしまったかのような野菜。パクチーはタイ語。英語ではcoriander(コリアンダー)だが、主にスパイス用。中国では香菜(シャンツァイ)で、麵や料理のトッピング、薬膳料理などに使われるが、日本人の好みに合わせて変化した中国料理ではあまりお目にかかることはなかった。しかし、タイ料理やベトナム料理では「さあ食え」とばかりに自国料理のアイデンティティを前面に押し出してくるので(特にベトナム料理)、先行して日本に入ったタイ料理の言葉が、その道草っぽい野菜(特に生で食べる場合)を指すのに使われたようである。英語の「コリアンダー」は韓国と関係あるのかと思いがちだが(私だけでしょうか)、もとは古代ギリシア語でこの野菜を表す語から来ており、韓国とはなんの関係もない(カタカナで書くとわからないが、韓国のコリアンはKで始まるKoreanですから)。ギリシア語の原語は、とても臭い虫であるカメムシと関係があるとも言われており、おそらく昔から「それを食うか!」というような食べ物だったことがうかがわれる。

 パクチーを初めて食べて好きになる人はおそらくいない。しかし、タイ料理やベトナム料理で何度か(がまんして)口にするうちにその味に慣れ、好きになるばかりか、他人に無理強いする熱心な支持者になる人がけっこう多い。つまりパクチーとは、突然の転向をうながす危険思想のような食べ物なのである。ちなみに私もいやいや食べているうちに、いまではベトナム料理などに付いてないとものたりないと思うようになった方だが、「パクチーをバケツ一杯食ったぞ」などと自慢する気にはなれないし、それほどマゾっ気もない。(KAGAMI & Co.)

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