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一大事

いちだいじ

 一大事とは、人生最大の危機を招く重大な出来事をいう。「御家の一大事」といえば、大名が取り潰しの危機に瀕しかねない大事件のことで、早い話、大名の殿様が江戸城内で憎い相手に斬りかかっちゃったような事件をいう(確か、どっかの廊下の事件だった)。また、古くは最重要なことがら、最大の目的という意味で、「一大事の敵(かたき)」「命は養生の一大事」などと使われていた。

「一大事」という言葉、「大事」は「重大な事件」「重要なことがら」と解釈して問題ないと思われるが、「一」はなにか。最重要なことがらという意味で「いちばん大事~」と「負けないこと、投げ出さないこと…」という歌みたいな意味としてよろしいかと思われるが(この歌の場合、「一番」といっておきながら、三つも四つもことがらをあげているが…)、実はこの言葉にはネタ元がある。『法華経』方便品(ほうべんぼん)に「諸仏世尊はただ一大事因縁をもつての故に、世に出現す」とあり、仏がこの世に出現した一番の理由、目的という意味で使われている。

 古く日本では、人間の死を「一大事」とする考えが広まっていたようで、多くの文献で「人生の一大事が迫っている」というようなことを年寄りが述べている。その場合の「一」は、「一回しかない」の一と、勝手に解釈してもよさそうだ。(VP KAGAMI)

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