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ビリ

びり

 ビリとは、最下位、最後尾をあらわす俗語。つまり、泡沫候補の得票順位、ブービーメーカーの成績、頑張って一流大学に入学したらドキュメンタリーとして出版されベストセラーとなってしまう高校生の成績。

「ビリ」は江戸時代中期頃発生した語で、『大言海』は「しり(尻)」が変化した語だとしていて、実際「尻」の意味で使われている文例もあるが、「しり」から「びり」にどう変化したのかよくわからない(ズボンの尻がやぶれた音だとか?)。「ビリ」はまた、娼妓や美人を意味していたので、「美尻(びしり)」から「びり」という変化も考えられないでもないが、「美尻」なんて最近の筋トレ女子が使い出して、オヤジが目をつけた言葉なので(筋トレ女子とオヤジは逆かもしれない)、それもなさそう。他に、尿を意味する「いばり」「ばり」が変化した語とする説もあるが、それだと最下位を意味する「尻」との関連性が薄れる(排泄を意味する「まり」ならわかるが)。さらに「びり」は、「ぶり」から変化して「2」を意味する博奕の隠語としても使用されるが、「水泳競技で2位だったよ。参加者二人だったけど」という冗談ならともかく、「2」と「最下位」が結びつかない。

 それにしても江戸時代、「びり」の使用範囲は広く、「ばか」や「まぬけ」のように相手をののしる言葉として使われたり、「尻」との関係で、セックス、情事、不純交遊、みだらな行為、女性器など、下ネタとしても多様に使われている。したがって、語源を考慮すると、上品を旨とする当辞典としては、市民のみなさまに気軽に使ってほしくない言葉ではある(とまあ、余計なお世話ではあるが)。

​(VP KAGAMI)

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