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落雁

らくがん

 落雁とは和菓子の一種で、米粉や麦粉に砂糖をまぜてこね、型に入れて固めた干菓子。材料と製法を見てもおわかりのように、「ばさばさした角砂糖か?」というような、あまり食欲のわかない菓子であるが、抹茶のお供には最適であり(そりゃあ、角砂糖ですから)、ええかっこしいの役立たずなヤツにも活躍の場はあるものだという教訓を与えてくれる菓子である。

「落雁」は「落ちる雁(がん、または、かり)」と書くが、猟師に撃たれて落ちる雁でなく、群れをなして舞い降りる雁を言ったもの。中国山水画の伝統的な画題である「瀟湘八景(しょうしょうはっけい)」の一に、「平沙落雁(へいさらくがん)」があり、秋の干潟に雁の群れが舞い降りる様子が描かれる。日本でも「瀟湘八景」をパクった「近江八景」の「堅田落雁(かただらくがん)」が有名で、堅田の浮御堂(うきみどう)近くに舞い降りる雁のありさまが水墨画の他、浮世絵でもさかんに描かれた。

 そんな「落雁」が和菓子の名前になったについては、中国の「軟落甘(なんらくかん)」という菓子の名からとも、昔この菓子には黒胡麻が振られていて、それが落雁に見立てられたとも言われるが、いずれにしても、茶事に出される菓子というようなものは、「落雁ですか、秋も深まりましたなあ」などとうんちくを傾けながら、かっこうをつけて食されていたことがうかがえる名称である。(KAGAMI & Co.)

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