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イタ車、痛車

いたしゃ

 イタ車、痛車とは、外見が恥ずかしい、みっともない自動車という意味。はねられたら痛い車という意味ではなく──ほとんどの車ははねられたら痛い──、イタリアの車という意味でもない。また、恥ずかしい、みっともないと言っても、ぼろぼろでようやく動いている車という意味でもなく、主にマンガやアニメのキャラクターなどで車体を装飾し、乗り手にそちら系の趣味があることを世間に喧伝しながら走るアグレッシブなオタクの自動車である。「イタい」という俗語の解説でも記したが、この「痛み」は、もし自分がその車の持ち主だったら、他人の視線が痛く感じる、評判で耳が痛い、という意味あいだと私は考えている。

 この言葉は2010年代前半に一時的に流行ったが、いまはあまり使われていない。その原因はいくつかあると思うので列挙してみる、1 オタクと自動車があまり親密な関係にない、2 オタクが自動車を持っていたとしても、その趣味を自動車を使って喧伝しない、3 そもそも自動車を使って自分の趣味を喧伝する人がいない──デコトラのように、自己アピールのプラットフォームとして自家用車が認知されていない──、4 もしそのような車が車を見かけても、誰ももう「イタい」とは感じない──つまり、自己アピールにならない──、と、こんなところだろうか。

​©校長のかがみ

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