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物物しい、物々しい、ものものしい

ものものしい

 物物しい(物々しい)とは、いかめしい、厳重である、大げさであるといった様をやや否定的に言う語。海外の要人が来日した際の「ものものしい警戒態勢」という言い方は、「そのくらい警備するのは当然かもしれないけど、ちょっと迷惑」みたいな気分が漂っている。

「ものものしい」は文字通り、「もの」を二つ重ねて形容詞化した語であり、言いかえれば「すっごく『もの』っぽい」ということ。大野晋先生の説によれば、「もの」は、「こと」の対語であり、「こと」が人間の行為そのもの、また行為により生み出された事象であるのに対して、「もの」は人間の力では変えることができない事象をいう。そのため古く「もの」は、外界の物体の意味の他、運命、決まり事、おきて、怪異、神事などの行事や儀式を表す。「ものものしい」の「もの」はこのうち、行事や儀式の厳格さや荘厳さを表しているのだといい、当初は立派である、重々しいという肯定的な意味で使用されていた。時代が下るとその豪華さや重々しさにうざったさを感じる庶民感覚の人々が増え、現代の「ものものしい」の皮肉めいた使い方に変化したようである。(VP KAGAMI)

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