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一丁上がり

いっちょうあがり

 一丁上がりとは、一人前の料理や制作物、作業が一つ完成したときのかけ声。複数の料理や制作物を作る際、最初の一つが完成したとき、自信たっぷりに勢いよく発せられることが多い。つまり、料理や作業の手際のよさを自慢するかけ声であり、もたもたした末にようやく一つ分が完成したような場合は、ちょっと発しにくい言葉である。

「丁」は豆腐を数える助数詞として知られるが、昔は豆腐ばっかり食っていたから料理のことを「丁」と言ったのかというと、そういうわけでもなさそうだ(あたりまえだろ)。「丁」という漢字は、手で料理のトレーを支えているようにも見えるが、それもなさそうだ(あたりまえだってば)。「丁」は「てい」と読むと、律令時代の成人男子、成人女子を意味し、「ちょう」と読むと、豆腐、書籍の1ページ、住所表示などの助数詞に用いられるが、一人前の料理をいうようになったのは中世後期からのようで、その料理にかかった費用なども意味していたらしい。その理由を生成AIに尋ねると、ワンセットの料理ができあがったことを示すのが「一丁上がり」で、「丁」はその作業の完成を意味するという。なんだか意味不明な解説だが、「丁」を料理人の労働量、人件費と考えると(マルクス主義みたいだが)気持ちがわからないでもない(生成AIは人間ではないので「気持ち」や「性格」はないと、自分で答える)。

 筆者はこの「丁」は、「包丁(ほうちょう)」の「丁」ではないかとみている。「包丁」は、古く中国では料理人を意味し、日本でも料理人のほか、料理、料理の腕前という意味でも使われ、現在の包丁を意味するようになったのは中世以後のようだ。これなら料理の出来上がりを自信持って「一丁上がり」と言えそうだ。(VP KAGAMI)

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