皮切りとは、ものごとの始まり、手始めを言い、「Ａ社を皮切りに主要各社の株主総会が続々と開催される」などと使う。「幕開け（幕開き）」も似たような意味だが、両者の違いは、株主総会を例に取れば、「皮切り」のほうがある特定のイベント（Ａ社の株主総会）を指し示すのに対して、「幕開け」はイベント全体の始まり（株主総会がいっせいに開催されるシーズン）に重点が置かれるところにある。

　皮切りは本来、最初にすえる灸のことを言い、最初の灸は皮を切られるほど痛い（熱い？）ことから来た名称だという。「幕開け」が劇場の幕が開かれて演劇や映画が始まるというシアトリカルな高揚感を伝えるのに対して、「皮切り」は、そのちまちました日常生活の一コマの例えから、「21世紀の幕開け」はふさわしいが、「21世紀の皮切り」はにあわないし、「紅葉シーズンの幕開け」も「紅葉シーズンの皮切り」では雰囲気が感じられない。

​（VP KAGAMI）