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がっかり

がっかり

 がっかりとは、落胆した気持ちを表現する言葉。「あいつには期待していたのにがっかりだ」のように、事態が自分の思っていた通りにいかないときにこの表現がよく使われる。つまり、われわれは「がっかり」の中で生きているようなものである。

「がっかり」は、「がくり」という首や膝が急に折れ曲がるさまを表す言葉が、「がっくり」「がっかり」と変化したものと考えられる。この「がくり」や「がっくり」について、『大言海』は、うなづいたり居眠りをするときに首を急に前に倒す動き「こくり」「こっくり」と関係があり、それらは「小首(こくび)をかしげる(首を少し傾ける)」の「小首」が変化したものだとするかなり苦しい説を唱えている。それなら、激しく首をかしげることを「がくびをかしげる」とでも言うのかと皮肉のひとつも言いたくなる。

 構造物の継ぎ目がゆるんで動いたり、疲労で膝が小刻みに揺れるさまは、現代でも「がくがく」と表すが、この言い方は江戸時代初期には使われていたらしい。「がっかり」「がっくり」「こくり」「こっくり」などはそれ以降に現れた言葉のようなので、「がくがく」という擬音語(または擬態語)が「がっかり」などの語源と考えてもよさそうだ。

 江戸期以前に使用されていた「がくがく」は、漢語から来た「侃侃諤諤」の「諤諤」で、意見を毅然と主張するさまややかましく騒ぎ立てるさまを表す。この「がくがく」は、「がっかり」につながる「がくがく」とはあまり関係がないような気がする。むしろ、石などの硬くて重いもの同士がぶつかる音は「がっ」という音や、アゴががくがくしたときに歯が噛み合う「がちがち」のような擬音表現が影響しているのではないだろうか。(VP KAGAMI)

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