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奥様

おくさま

 奥様とは、他人の妻を敬っていう語。くだけた言い方では「奥さん」。あまり親しくない間柄や目上の人に対しては「奥様」を使うのがよろしいようで、上司に対して「おたくの奥さんは」などと言っていたら、昇進はおぼつかないだろう(「奥さん」は最近それほど目くじらたてられないが、「おたく」はまずい。難しいんだよ、日本語は)。

「奥様」の「奥」は、家の奥の意味。「奥様」は「奥方(おくがた)」などともいうように、いわば家の奥の方に住んでいる人、奥の方を取り仕切っている人という意味。上代の上流階級の邸宅では、正妻は敷地内の北側に別宅をあてがわれてそこで暮らしていたので「北の方」などと呼ばれたが、武家社会になると同じ棟で妻も暮らすようになり(武士階級が増えすぎた住宅事情でしょうか…)、玄関からいちばん離れた場所、つまり「奥」を家族のプライベート空間として、そこを取り仕切っている女性が「奥様」ということになった。

「奥様」は「奥」に、敬意を表す接尾語「様」を付けたものなので、相手の妻をいう尊敬語として用いられるが、「奥」で自分の妻をいう謙譲語として使うこともできる。とはいっても、昔の金持ちが、家の奥にいる妻を「奥や、奥」などと呼ぶのに用いていたことはあったようだが、家に「奥」というほどの「奥」もない昨今では、そんな言い方もしなくなった(相手の妻をいう場合は、おべっかで「奥様」と家の広いことを暗ににおわせているのかもしれない)。(VP KAGAMI)

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