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ちゃんと

ちゃんと

 ちゃんととは、正しく整っているさまを言う。「ちゃんと歯を磨け」「ちゃんと仕事しています」など、日常会話でよく用いられる。類似語に「きちんと」があるが、「きちんと」が整理されている状態に重点が置かれているのに対して、「ちゃんと」は正しさやまともさが重視されている。例えば、「きちんとした人」といえば、きれい好きで服装や髪型がびしっときまり、スケジュール管理が徹底している人を思い浮かべるが、「ちゃんとした人」といえば、働かずに酒ばかり飲んでいたり、怪しげな金融商品を売りつけに来るヤツではない、真面目な人が想像される。

 ちゃんとの語源は、数々の辞書には「ちょうど(丁度)」と同源であると書かれている。「ちょうど(ちゃうど)」は、ものとものとが激しくぶつかりあう音を表した「ちゃう(ちょう)」から来ており、「丁丁発止(ちょうちょうはっし)」という語はその音がもとになっている。「ちょうど」はつまり、ものとものがぶつかりあうように、ビシッと当てはまるさまを言い表した語で、「ちゃんと」もその流れを引いていると言ってもよさそうだ。

 一方でこの「ちゃんと」の江戸時代の用例には、動作の迅速なさまを表す使い方が見られ、そこから「ちゃと」「ちゃっと」「ちゃくと」などとの類似も考えられる。こちらは「さっと」や「ぱっと」などと同様、素早い動作の表現から来ていると考えられ、「丁度」とは出所が変わってくる。

(KAGAMI & Co.)

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