謙遜

けんそん

 謙遜とは、自分の能力や価値を低く示すことで相手の能力や価値を相対的に高めるという、人間関係の力学。謙遜のシステムは日本で極度に発達し、その姿勢を言葉で表すための「謙譲語(けんじょうご)」という(「そこまでするか!」と言いたくなるような)言語のセットさえ用意されているほどである。

 謙遜は原則的にミウチ(ウチ)に対するヨソ(ソト)の人々との対応の際に示すべき姿勢であり、相手が自分より地位や身分が下であることがわかっている場合でも、まずはお辞儀し、敬語(相手を敬い、自分を謙遜する言語のセット)を使った会話がなされる。会社と会社のように両者が違う組織に属している場合、このヨソヨソしい関係は保たれ、謙遜のしあいが続 く。しかし、両者に仲間意識が生まれると(一杯飲みにいくとか)、ヨソヨソしい関係は徐々に薄れ、上位の者は謙遜の姿勢をとらなくなる。さらに両者がミウチになると、ヨソヨソしい関係はナレナレしい関係となり、上位の者はナレナレしく下位の者を可愛がったりいじめたりし、下位の者は謙遜の姿勢を保ちつつもナレナレしく上位の者に甘える態度を身につけるようになる。伝統的な日本の社会では、上位の者に上手に甘えられるかどうかが、出世の近道であった。

 また日本人は、ヨソの社会において謙遜の姿勢を自分自身だけでなく、他人にも求める傾向があり、これに反した態度をとる人物を「偉そうにしやがって」と嫌う。尊大な態度をとってもかまわない地位や身分にある人に対しても、 心の底で日本人は「オレたちとおんなじにしてほしいな」と考えており、有名人も腰が低いとそれだけで株が上がったりするから、今後有名になる予定の皆様には、老婆心ながらご忠告さしあげたい。(KAGAMI & Co.)

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