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おかまいなし、御構い無し

おかまいなし

 おかまいなし(御構い無し)とは、相手の心情や周囲の状況への配慮なしにという意味で、「店内の静けさもおかまいなしに騒いでいる」「周囲の批判もおかまいなしに持論を主張し続けた」「敵軍の反抗もおかまいなしに進攻を続けた」のように用いる。最初の例文は、周囲の雰囲気を気にせずという意味なので「空気を読まず」と、次は周囲の批判を無視してという意味なので「耳を貸さず」と、最後は敵の攻撃を蹴散らしてという意味なので、「ものともせず」とそれぞれ置きかえることができる。というわけで「おかまいなし」は、どんな状況でも“おかまいなし”に使える汎用性の高い言葉だといえる。なぜそうなるかというと、「おかまい」の「構う」が、相手や周囲に関係する、関与するという漠然とした意味の広がりを持っているからだ。

 日本語の挨拶語に「おかまいなく」があるが、これは相手が「かまってくる」ことに対して、その必要はないと言っている。この場合、相手の「構う」は、自分に対していろいろとおもてなししようとしてくれる(暑苦しく関与してくる)行為を意味し、それに対して「こちらも気を使わなければならないからやめて」と言っているわけで、相手の「おかまい」を「なし」にしてほしいということ。要するに自分と相手の関係が良好であるときに用いる言葉だといえる。一方「おかまいなし」は、相手や周囲の状況に対して本人の側から関係を切ることを意味する。自分と周囲との関係が良好であれば関係を切る必要はないので、自分と周囲の関係がよくない場合に用いられる。「敵軍の反抗」にたいして「おかまいなく」などと丁重にお断りしても聞き入れられるはずもなく、自分の側から「おかまいなし」にしなければならないのである。(VP KAGAMI)

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