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怪しい

あやしい

 怪しいとは、人に不安、不審、疑念、危惧などの感情を抱かせる様子である、という意味の形容詞。「怪しい雲行き」は、雨が降りそうな空模様、または、動乱が起こりそうな世の中の状勢。「怪しい人」は、いかにも悪事をはたらきそうな様子の人。「合格できるかどうか怪しい」は、「合格する自信がない(つまり落第間違いなし)」という意味。要するに、受け手にとってよくない結果を招きそうな様子であるということである。「あの二人の関係は怪しい」は、二人は恋愛関係にありそうだという意味で、決して悪い結果ではなさそうだが、端から見ているヤツらにとっては「ちくしょう、うまいことやりやがって」という嫉妬ムラムラの悪い結果になるわけで、「怪しい」でよいのである。

「あやしい」は、「あや」という驚きの感情を示す感動詞を形容詞化したものという説もあるが、もととなったのは、こぼれ落ちる、したたり落ちるという意味の「零ゆ(あゆ)」という、いまは誰も知らない古語だとする説が有力である。「危うい(あやうい)」「危ぶむ(あやぶむ)」なども同じ語源から来ていると考えられ、昔の人の考えはよくわからないが、うまい酒が樽からこぼれおちてしまいそうだという感覚が「あやうい」「あやぶむ」。そこまでの緊急性はないものの、「あんな樽の作り方じゃ酒はこぼれてしまうよね」という感覚が「あやしい」ではないだろうか。

(VP KAGAMI)

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