top of page

どたばた喜劇

どたばたきげき

 どたばた喜劇とは、英語でいうslapstick comedyにあたり、セリフの内容ではなく、身体の動きや顔の表情、声の調子で客を笑わせる喜劇をいう。特に人を殴ったり蹴飛ばしたり、頭に金だらいが落ちてきたり、熱湯の風呂に入ったりと、いわゆる「体を張った」コメディをいう場合が多い。無声映画では、当然のことながらセリフで笑わせることができないので、この種の喜劇が主流であった。

 英語のslapstickは、「叩く棒」という意味のように、二本の細長い板を蝶番でつないで、叩くと大きな音がする小道具のことで、サーカスの道化師が、バカなことをした相手役の尻などを張り飛ばすのに使っていたもの。日本でどたばた系のコントに使用される張り扇(はりせん、または、はりおうぎ)に用途としては似ている。

 日本では、二人で行われる漫才や2~5人程度で行われるコントにもどたばた系のものがあり、さかんに相手の頭を叩いたり、尻をけとばしたり、張り扇で顔をはたいたりしている。西洋にもどたばた喜劇の伝統があるにもかかわらず、このような舞台を見て西洋人は、「わが国のお笑いの芸人は相手を頭をなぐったり、けとばしたりしない」などと気どったことを言っている。

©校長のかがみ

関連用語