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たしなむ程度、嗜む程度

たしなむていど

 たしなむ程度の「たしなむ」は、好んで親しむという意味で、「俳句をたしなむ」「お茶をたしなむ」などと用いる。漢字では嗜好品(コーヒーやタバコなど習慣性のある飲食物)の「嗜」を使って「嗜む」と書く。「酒をたしなむ」と言った場合、酒が好きでよく飲むという意味だが、あくまでその味わいや場の雰囲気が好きなのであって、浴びるほど飲んだり、中毒症状を呈したりはしないという意味合いを含む。同様に、酒の飲み方や飲む量について言う「たしなむ程度」も、酒は好きだけれど、多量には飲まない(飲めない)という意味で使う。つまり、「お酒は強いの?」と尋ねられたお嬢様が、「たしなむ程度です」とウソをつくときに主に用いるのである。

 しかし実際のところ、ほんとうに「たしなむ程度」しか酒が飲めないお嬢様は、「飲めません」と言うので、「たしなむ程度です」などと、不敵なほほえみを浮かべながら口走る女性については、「こいつは底なしなんだな」と、酒をすすめた男のほうも承知していて、財布の中身と相談しながら安い焼酎のボトルを一本あてがったりするのである。(KAGAMI & Co.)

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