トンカツ

とんかつ

 トンカツとは、豚肉のカツレツ(cutlet)という意味で、薄切りの豚肉に粗いパン粉の衣をつけて多量の油で揚げた料理。牛肉などに細かいパン粉をつけて少量の油で揚げたcutletをもとに日本で改良されたものだが、いまや、西洋料理のようにパンを添えて食う気には絶対なれない……、つまりもう「洋食」とさえ呼べない立派な日本料理に変身している。このすっかり日本化した外人タレントのような料理は、いつのころからか生のキャベツの千切りが添えられ、ご飯と味噌汁、漬け物をワンセットとした定食の形式で提供されるようになり、食客は、ウスターシャソースを改良した泥状のとんかつソースをかけ、好みによって和がらしを付けたりして食べるのが決まりとなっている。

 トンカツは肉にパン粉の衣を着せて別種の味わいを提供する料理だが、それとともに、食糧事情の悪い頃、安い肉や多少傷んでいる肉でも臭みがごまかせる点や、肉をハンマーでばんばん叩いて(肉を柔らかくするんだ、などと言いながら)薄く引き伸ばし、衣をたっぷりつけて増量する効果を期待して作られていたフシがある。現在繁盛しているトンカツの店は、どんなに安くても(500円ちょっとで定食が食べられる店さえある)、そこそこの肉を使っているが(食べる方がうるさくなっているんだと思う)ふりかえってみれば以前は、半分脂身でかみ切れない肉や、どんなに揚げても臭みのとれない肉が使われていて、あまり高級な料理というイメージはなかった。現在でも、精肉店の隣で経営されているトンカツ屋などでは、残りものの肉を提供される恐れがあるので要注意である(注:ほとんどの店がそういうことはないと思われますので、実態はご自分の舌でお確かめください)。(KAGAMI & Co.)

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