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大口を叩く、大口をたたく

おおぐちをたたく

 大口を叩くとは、大言壮語する、偉そうなことを言うという意味。言ったことが後で実現しなかったとき、見ている者にとってはたいへん爽快感の強い言動である。「大口をきく」ともいう。

「大口」は口が大きいこと、大きく口を開けることだが、ここでは大言壮語することの例え。「叩く」は手や硬い物(こんにゃくでもまあ、いいけど)で対象を打つという意味だが、「……口をたたく」という言い方で、しゃべる、言うという意味になる。「上顎と下顎のぶつかり放題、勝手なことを言う」といった言い方があるように、口を激しく閉じたり開いたりしてしゃべる様子を「叩く」と表現しているのではないかと思われる。

 古く「大口(おおくち、おおぐち)」は、大言壮語することという意味の他、卑猥な話をすること、汚い言葉を使うことという意味があり、井原西鶴もその使い方をしている。『大言海』は大言壮語の意味は載せておらず、そっち系の説明のみ。したがって「大口をきく」という例文も、卑猥な話をする、汚い口のきき方をするという意味になるわけだ。これは大言海先生が「あんたも好きねえ」だったわけではなく、昔は「大口」がそっち系で使われる場合が多かったのではないかと思われる。

 英語にも、直訳すれば「大口」であるbig mouthという言葉があり、試合前に相手のことをボロクソに言っていたモハメド・アリはbig mouthで有名であった。ところが英語の「大口」は大言壮語というより、口が軽い、おしゃべりであるという意味合いが強い言葉のようで、アリは饒舌だったからbig mouthと言われたのであって、「あんなヤツ1ラウンドもたないぜ」とボソッと一言つぶやいただけではそうは呼ばれなかったはずだ。日本ではアリみたいにまくし立てる選手はあまりいないので、寡黙でも「たいした相手じゃないです。楽勝ですね」などと偉そうに言う自信過剰なヤツは、「大口を叩いている」として、将来の大失敗を期待されるのである。

(KAGAMI & Co.)

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