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自慢

じまん

 自慢とは、人前で自分をほめること、自分に関するものごとを誇ること。謙遜の精神を美徳とする日本では、この行為は恥ずべきこととされ、人前で誇っていいのは自分の「のど(歌唱力)」や「お国(出身地)」くらいである。それも「のど」の場合は、ほんとうに歌のうまい人はあまり自慢してはならず、他人の評価を待たなければならない。「のど」は、歌のヘタな人が「自慢」するから愛嬌があり、テレビ番組にもなって人気が高い。「お国」や自分の会社を自慢することはよくあるが、この場合、直接自分をほめるのではなく、多くの人々に埋もれた一人としてほめているので、かなり「自慢度」が薄れる。しかしその場合でもなお、事前に「手前味噌ですが」というような言い訳を下準備しておかなければ、「あの野郎、自慢たらたらだな」といったわけのわからない非難の視線を受けることになるから要注意である。

「慢」という漢字は、自分を偉いと思って横柄な態度をとるとか、相手を軽蔑するといった意味があり、「自慢」という熟語自体がよからぬ意味あいを持っている。現代中国語では「自慢」という漢字の使い方はしないようで、類似の語は「自誇」あたりになる。つまり「自分を誇る、誇大にほめる」といった意味あいであり、人前で自分をほめることが、日本では「イヤなヤツ」と受け取られるのに対して、中国では「あの野郎、大きなこと言っていやがる」と笑われるという、それぞれのお国柄を表していておもしろい。(KAGAMI & Co.)

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