しとね、茵、褥

しとね

 しとね(茵、褥)とは、座るとき、または寝るときに敷く敷物のこと。原形は、古代、正方形のゴザの周囲に縁をつけた、綿抜きの座布団のような敷物。中世には、寝るときの敷物や寝る場所をも言うようになった。語源は「下」に「延べる」という「下延べ」が変化したものといわれるが、「ね」は「寝る」で「伏(ふ)し処(と)寝(ね)」という説もあり、だとすると「寝具」「寝る所」という使い方が最初にあったということになる。語感から「しっとり寝る」というような色っぽいイメージも浮かび、そんな印象からか、1965年に発表された加山雄三の『君といつまでも』とでは「君はそよかぜに髪を梳かせて やさしくこの僕のしとねにしておくれ」(岩谷時子作詞)と歌われる。この場合の「しとね」はもちろん座布団ではなく寝るときの敷物という意味であろう(座布団の意味だったら、場面を想像して笑えるが)。当時、この詞が文法的におかしいという指摘がなされたらしい。前文と後文で主語の違う文章を「て」でつなげているように読めるからそう感じるのだが、これは論文ではなくて「詞(詩)」であるから前後の文が文法的にちゃんとつながっている必要はない(この詞を国語の教科書に使うなら問題はあるかもしれない)。むしろ、それぞれ独立した前後の文が「て」により自然につながるように読めるところに面白さを感じるべきであろう。この2文を正しくつなげようとするのなら、「君はそよかぜに髪を梳かせる。その髪をやさしくこの僕のしとねにしておくれ」となるのだろうが、そんなバカみたいな「詞」はありえないのである。(KAGAMI & Co.)

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