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デュース、ジュース

でゅーす、じゅーす

 デュース(ジュース)とは、テニスのゲームで双方がforty(40)で並んだ状況を言う。つまり、thirty-forty(30-40)でゲームポイントを握られていた(=王手をかけられていた)選手が1ポイント取って追いついた状態であり、最近のスポーツ用語で「逆王手」などと言いたいところである。しかし残念なことに(別に私は残念ではないが)テニスの試合では、デュースになると先に2ポイント取らなければそのゲームを取ることができないので、あと1ポイント取れば勝利という意味の「王手」は当てはまらない。ところが、追いついた選手が1ポイント取って王手をかける(=アドバンテージを取る)と、それこそ「相手の王手を消して当方が王手をかける」という意味の「逆王手」が成立し、野球の選手権シリーズなどで言われる「逆王手」のばかみたいな使い方は避けることができる。デュースのルールは、他に卓球、バドミントン、バレーボールなどで採用されており、「逆王手」を正しい言い方にするために野球の選手権シリーズでも導入したらどうかとも思うが、決着がつくまでどれだけ野球場をおさえていいのかわからないので、実現性は乏しい。

 テニス用語のデュース(deuce)は、ラテン語で2を意味するduoの男性対格duosから来ており、「あと2ポイント取らなければ勝てないよ、ご苦労様」という冷ややかな宣告を言い表している(興奮して叫ぶ「逆王手」なんかとはわけが違う)。deuceは、以前から日本で「ジュース」と言い習わし、いまでも辞書には「ジュース」で載っていることが多いが、それでは「これからたいへんだからジュースでも飲んで一休みして」みたいであり(それでもいいような気がするが)、さすがに気恥ずかしいのか、近年のスポーツ中継では「デュース」と言うようになっている。(KAGAMI & Co.)

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