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あべこべ
あべこべ
あべこべとは、ものごとの位置関係や順序が逆転していること。「きみ、顔があべこべだよ」と言われたら、自分の顔が上下逆転している状態を危惧しなければならない。「あべこべ」の「あ」と「こ」は、「あちらこちら」の「あ(彼)」と「こ(此)」で、遠称および近称の指示代名詞。「べ」は「浜辺」「窓辺」などと使われるように、あるものがほかのものと接するあたり、あるものの端の方を意味するので、「あべこべ」はあるものの「あちら側とこちら側」という意味。
このようなことから「あべこべ」は「あちらこちら」と似たような意味になりそうだが、「きみ、顔があちらこちらだよ」と言われたら、顔が失敗した福笑いのように目鼻が方々へちらかっている状態を危惧しなければならない。つまり、「あちらこちら」はあちらの方、こちらの方という単に方向を示すのに対して、「あべこべ」はもののあちら側とこちら側、つまり、両端を意味し、「あちら側がこちら側になっている」という状態を意味するのが「あべこべ」である。
とはいえ、筆者が疑問視するのは、「あちら側」という意味で「あべ」、「こちら側」という意味で「こべ」という言葉が見られない点だ。「あべこべ」と音感が似た語に「つべこべ」があり、「あべこべ」よりやや古くから現れているので、影響関係も考えられるが、意味が違うことと、他に似た語がないことから、あまり深入りしないほうがよさそうだ。
(VP KAGAMI)