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西

にし

 西とは、太陽の沈む方角。日本語の「にし」は、もとは「去(い)にし」で太陽が消え去る方向を意味する(他にも説はあります)。「去(いに)」は、動詞「去ぬ(往ぬ)」の名詞形で、関西弁の「はよ、いね(とっとと、消えろ)」で使われているように、「去ること」「行ってしまうこと」という意味。「し」は漢字では「息」「風」で、風、風向き、方角を意味する。「(太陽が)去る方向」の「いにし」の「い」が脱落して「にし」になった。英語のwestも、古英語で日没を意味するwestから来ていて、いずれも日の沈む方向という点で意見が一致している。しかし中国語だけ語源がひねくれていて、漢字の「西」はもとは籠状のものを表す象形文字。これが鳥の巣を表すようになり、夕方になると鳥が西方の巣に帰ることから、「西」という字を方角を表す「西」にあてたという。こうした漢字の成り立ちを「仮借(かしゃ)」と言うが、要するに、象形文字が使われていたころは東西南北の概念がなく、その考えができたころ、適当な文字をあてはめたためにこういうことになったようだ。(KAGAMI & Co.)

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