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手口

てぐち

 手口とは、方法、手段という意味だが、主に悪事を実行するときの方法や手段を言い、「金庫破りの巧妙な手口」などと使う。また証券用語では、どの会社が何株売ったか、買ったかを示したもので、取引参加者別の取引高を示す情報を「手口情報」、一覧表にしたものを「手口一覧」という。

「手口」の「手」は、作業、動作などの意味だが、問題なのは「口」。証券用語の場合、就職先を「働き口」、寄付金などの単位を「一口」などと言うので納得できるが、犯罪の「手口」の場合、詐欺犯罪なら「口」もわかるが、金庫破りでは「口」は使わない(『007』に登場したジョーズならまあ…)。調べてみると、この「手口」は比較的新しい言葉のようで、明治時代後半から文例があらわれるものの、昭和初期刊行の『大言海』には項目が載っていない。語源の候補としては、1.証券用語が一般に流れたもの(どちらが先に使われていたかわからない。あまりよろしくない言葉をわざわざ使うようには思えないので証券用語が先かとは思うが、両者の関連は不明)、2.「手管(てくだ)」の訛り(「やり口」という類似語が同時期に見られ、「やりくだ」という言い方はないので関連性が不明)、3.「口」に方法、手段という意味がある(しかし、辞書にはその意味は記されていないし、使用例は「手口」と「やり口」くらいしかない)、4.「口八丁手八丁」のように、「手」と「口」が同列に扱われている、5.詐欺犯罪を含めた犯罪用語(4も5も「やり口」という語と整合性がつかない)。というわけで、いろいろとつついてみたが、語源不詳とするのが適当なようだ(お疲れさんでした)。

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