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疑心暗鬼、疑心暗鬼を生ず

ぎしんあんき、ぎしんあんきをしょうず

 疑心暗鬼は通常四字熟語として「相手を恐れるあまり、疑心暗鬼で戦う前に負けている」のように使われるが、もとは『列子』説符篇にみえる冤罪事件を扱った寓話について、宗の林希逸(りんきいつ)が「これこそ、ことわざに言う『疑心暗鬼を生ず』だ」と注釈したもの。つまり、その当時のことわざを林氏がとりあげたために有名になった語。『列子』の寓話は、資産として保管していた鉄をなくした者が隣人に疑いをかけ、その人が盗んだと信じこんだが、後に鉄が他から出てきて疑いが晴れたというもの。疑う心が罪のない者を罪人と信じこませたことが、「暗鬼(暗闇の鬼、つまり恐れが生む妄想や幻覚)」を生じたということだが、最近ではこの種の冤罪事件では「疑心暗鬼を生ず」といった言い方は使われない。現在の冤罪事件は、「あの野郎、態度が悪くてムカつくから、しばいてやろう」といった動機で意図的に犯人がでっちあげられるケースが多いからではないかと思われる。一方「疑心暗鬼」は、冒頭の例のように、恐れや不安により相手を過大評価したり幻覚を見たりする場合に多く使用され、「暗闇の鬼」という恐怖のイメージにふさわしい使い方がなされている。(KAGAMI & Co.)

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