もの思い

ものおもい

 もの思いの「もの」は、何とはっきり名指しすることはできないものごとの意。そこから「もの思い」は、とりとめのないものごとを心に浮かべること、あるいは、とりとめのないものごとを考えているように見える人の様子を言った言葉である。しかし、われわれの「もの思い」は、それほどとりとめがないわけでもなく、例えば「色っぽい」などとおだてられてその気になっているおばさんの「もの思い」はたいていは男のことであり、普通のおばさんの「もの思い」はたいてい今夜の晩ご飯のおかずのことである。

「もの思い」は、「もの思いにふける」「もの思いに沈む」などと用い、なんらかの考えにとらわれて悩ましい、悩ましげに見える状態を意味するが、そんな考えごとをしている人の様子を魅力的に感じている、といったニュアンスを含む。したがって、「晩ご飯のおかず」を考えているおばさんは、若い男のことを考えているような憂うつな表情で、ため息のひとつも漏らさないと、「あの人は、もの思いに沈んでいる」とはなかなか言われない。(KAGAMI & Co.)

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