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南〈方角〉

みなみ

 南とは、日の出に向かって右手の方角。「みなみ」の語源は諸説あるが、「皆見(みなみ。なんでも皆よく見える。日光が明るいから?)」「海の見(みのみ。海が見える方角。日本の南側に太平洋あり?)」「水並み(みなみ。水辺に並んでいる。海の向こうの南方へのあこがれ?)」「真日中めり(まひなかめり。真昼の太陽の方向?)」といった苦しい解釈が多い。英語のsouthは、古語でsunny side(陽の当たる側)を意味する語にたどりつくようだが、これもperhaps(たぶん、そんなとこ)な説だという。漢字の「南」は原形がはっきりしていて、中国南方の苗(びょう)族が使う青銅製の打楽器を表す象形文字から来ている。この楽器は苗族の象徴として中国に知れわたっていて、苗族のことを「南人」「南亥(なんい:南方の野蛮人)」などと呼んでいたことから、方位の概念ができたとき、「南」という字を「みなみ」の方位として採用したらしい。日本語で言えば「あずまびと」が京都の東、関東地方の田舎者を指していたような、ローカルな命名経緯である。

「みなみ」なんて、誰が考えても(北半球の人なら)同じようなアイデアに至りそうだが(太陽に向かう方向とかなんとか)、古代人の考えは謎である。ただ中国や日本の場合、五行思想の冒頭の「東(ひがし)」(トンナンシャーペーというくらいで)で、太陽関係の文字や言葉が使われてしまい、南はカブるのを避けるため、わけのわからない語源になってしまったとする説があり、ほんまかいなとも思うが、当たらずとも遠からずのようである。(KAGAMI & Co.)

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