むむ、むむっ

むむ むむっ

 むむ(むむっ)とは、現代では驚いたり感心したりするときの表現だが、『源氏物語・末摘花(すえつむはな)』では、返歌に窮した末摘花が無言で笑うありさまを表し、義太夫の脚本では相手の言葉に同意する返事「うん」の表記に用いられている(現代の表記では「うむ」に当たるか)。その昔、「ん」の表記に「む」が用いられていたことがあり、『大言海』などは「ん」を「む」に自動的に置き換えていて、「しんぶんし」は「しむぶむし」と表記されたときの語順で掲載されている。してみると、文書に記された「むむ」は、発音すれば「んん」とか「うん」に当たるものと思われ、驚いたり感心したり困ったりしている状況で、言葉が出ず「うーん」とうなっているありさまを書き文字で表した語と考えられる。したがって『源氏物語』の一節「ただむむとうち笑ひて」も、無言で笑っていたのではなく。「うー」などと動物的なうめき声をあげて照れ笑いしていたと考えた方がよさそうだし、『源氏物語』の中で、ブサイクさと要領の悪さナンバーワンのディーバ末摘花には、そんな救いようのない態度がふさわしい。

 ところが近年、「むむ」は口に出して「むむっ、それは初耳だ」などと言われることがある。これはたぶん書き文字の影響を受け(マンガなどから?)、書いてあるとおりに声に出し始めたからではないかと思われる。

 (KAGAMI & Co.)

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