たかる、集る

たかる

 たかるとは、漢字では「集る」と書くように「集まる」という意味だが、ただ集まるのではなく、ある対象にこまごましたものどもが寄り集まってしがみつきなかなか離れず、見ている者にいやな感じを与える様子を表現している。例えば、「アリがアメにたかる」「アイドルにファンがたかる」「ほこりがたかった骨董品」など。

「たかる」の語源については『大言海』が「立チカカル意カト云フ」という苦しい説(しかも伝聞だし)を載せているが、要するによくわからない。私は「集める」つながりで宝物の「たから」と関係あるのではないかと考えるが、まあ、間違いだろう(そんな、なぞかけみたいな説じゃあね)。

「たかる」の初見は『古事記』で、イザナキノミコトが亡くなったイザナミノミコトを追いかけて黄泉の国へ行き、見るなという禁を破って見てしまったイザナミの体に「宇士多加禮許呂呂岐弖(うじたかれこころきて)」つまり「ウジがたかって鳴いていて(ウジって鳴くんだね)」というゾンビ映画そこのけのシーンがそれ。最初からこんな使われ方をしていては、「集まっていやな感じ」なのも無理はない。

 その「いやな感じ」を受け継いで、一匹でも無数に集まるアリのように不愉快な存在感たっぷりで、人の弱みにつけこんで金品をせびりとろうとするいやなやつの、しつこくまとわりつく行為についても俗語的に「たかる」という。この「金品をせびりとる」という使い方は近代以降のもののようで、川端康成の作品などにその使用例が見られる。

 (KAGAMI & Co.)

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