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カテゴリー:慣用句

辛酸を舐める、辛酸を嘗める

しんさんをなめる

 辛酸を舐める(辛酸を嘗める)とは、つらい思いをするという意味。「辛酸を舐めた時代を経て、現在の成功がある」などと使う。「辛酸」は、からくて酸っぱいと書くが、タイ料理の味を言っているわけではなく、つらいこと、苦しいこと、悲しいことを意味する。古くから中国にある言葉で、三国時代の阮籍や唐の杜甫らが詩に用い、菅原道真も左遷先への旅の宿りを「単寝辛酸夢見稀」つまり「ひとり寝るのはつらく夢もめったに見ない」と詠っている。

「辛酸」はもちろん食べ物のからく、酸っぱい味から来ており、中国語で現在、タイ料理の味をこう表現しても間違いではない(サンラータンでもいい)。しかし、その意味で使われることはめったになく、悲惨な境遇や悲しい出来事に遭遇した人の心情を表すのに用いる。「嘗辛酸」つまり「辛酸を嘗める」という言い方もそこそこ用いられるが、これには「臥薪嘗胆」つまり「たきぎ(薪)の上に寝て、苦い肝(きも)をなめる」ように「長い苦労を耐え忍ぶ」の「嘗胆」との類似性を感じさせるが、「嘗胆」のほうは、仇を討つためにわざわざ厳しい生活に身を投じてその恨みを忘れないというマゾッ気たっぷりの気分を有しているのに対して、「辛酸をなめる」ほうは望まずしてその境遇に追い込まれ、しかたなく「なめ」させられている状況がうかがえる。

 成功者というものは、「辛酸をなめる」過去があればあるほど称讃される傾向にあるが、それも順番が肝心で、辛酸→成功でなければならず、成功→辛酸となるとわれわれは「ざまあみろ」とか「自業自得だ」などと厳しい目を向けることになる。(VP KAGAMI)

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