憩い、いこい

いこい

 憩いとは、休息すること、くつろぐことをいう。「食後の憩いのひととき」「いこいの里」などと用いるが、現代ではやや古くさい表現であり、農作業の合間に、日本放送協会のラジオ番組『ひるのいこい』を聴き、かつて日本専売公社が発売していたタバコのブランド『いこい』を吸いながら休憩している年寄り連中を言い表すのに、しっくりくる言葉である。

「憩う」は「息う」と書く場合もあり、「憩」と「息」は、「休憩」と「休息」がそうであるようにほぼ同意。和語の「いこう」も「いき(息)」と同源である。「息」の「いき」は「生きる」の「いき」につながるとも言われ(「息してる」から「生きてる」というのは納得だ)、してみると、「生きることは休んでくつろぐことである」とフランス人みたいな哲学に思わず達してしまいそうである。

 漢字の「憩」は、「息」に「舌」を加えた形であるから、農作業の「いこい」の時間に弁当やおにぎりでも食っている姿を想像してしまうが(しないかな…)、この漢字の本来の形はなぜか「恐喝」や「恫喝」の「喝」の替わりに使われることもある「愒」という字らしい。脅すとか貪る(むさぼる)という意味のこの字と「憩」が同じ意味であるとは考えにくく(「貪る」という意味は関連なくもないが)、ただ発音が似通っていたから当てられていただけだろうとも考えられている(漢字にはそういうケースがままあるそうだ)。

(VP KAGAMI)

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