ズッコケ、ずっこけ

ずっこけ

 ずっこけ(ズッコケ)とは、ずりおちること、滑って転ぶことという意味だが、お笑い芸能において、ボケやギャグを披露した人物に対するリアクションとして知られる。これは漫才におけるツッコミに相当する動作だと考えられる。漫才のツッコミは、ボケ役がかましたギャグを受けて、それが笑うべきところであることを観客に知らせるとともに、観客の考えていること、言いたいこと(というか、そのギャグに対して観客が考えたり、言ったりすべきこと)を誇張して発言(相手をどつくという物理的手段に出る者もある)し、観客と一緒になって笑いを盛り上げる役どころである。漫才の場合、ボケに対するツッコミは一人なので、言葉による(時に手や足による)さまざまな表現が可能だが、集団で行うコントや喜劇のようにボケ一人に対して相手が多人数である場合、一人にツッコミをまかせておくわけにはいかない。ツッコミ役には、ボケ役がギャグをかました瞬間、彼がおもしろいことを言ったんだぞと明示し、そのギャグに対して観客が取るべきリアクションを示唆する役割があるので、多人数のコントでは舞台の全員が同じ言動をとらないとその効果を発揮できないのである。かといって、全員が同じことを言うのはくさい芝居みたいで不自然だし(まあ、芝居ですけど)、全員で一人をどついたりするのはただのリンチであり教育上よろしくないので(ボケが全員にどつかれるコントもあったような気がするが)、その解決索として採用されているのがズッコケだと考えられる。

「ずっこけ」の動詞形「ずっこける」は「ずりこける」が変化した語。「ずる」は、ものとものを摩擦が生じるように滑らすという意味の「擦る(する)」に濁点が付いた語で、重いものを音をたてて滑らすというイメージがある。「こける」は転ぶ、倒れる、落ちるという意味。したがって「ずっこける」は、椅子から滑って落ちるといった状態を表すのに適した言葉である。この「ずっこける」が、ものにつまずいて転んだり、相手に殴られたりして倒れるのと違うのは、倒れるまでに時間がかかる、つまり、スローモーションで倒れるというところである。吉本新喜劇などでのズッコケは、突然かまされたギャグで倒れるのではなく、繰り出されるのがわかっている定番のギャグに対する反応であり、「また、やらかしてくれた」「待ってました」といった観客の気持ちを「滑りながら転ぶ」という動作で表していると考えられる。

(KAGAMI & Co.)

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