ケツの毛まで抜かれる

けつのけまでぬかれる

 ケツの毛まで抜かれる(一般の辞書では「尻の毛まで抜かれる」)とは、すべての財産を不当に奪われるという意味。多分に俗語的表現であり(言わなくてもわかるっての)、下品な言い方なので(言わなくてもわかるっての)、女性はもとより、常識的な男性もあまり使わない。しかしどうせ下品な言葉なのだから、使うときは、辞書に載っているような「尻の毛まで抜かれる」なんて中途半端な言い方ではなく、思いきって「ケツの毛まで抜かれる」と、より下品な言葉遣いをこころがけたい。青二才が賭博場にまぎれこむと、「幾多の修羅場をくぐりぬけてきたぜ」みたいな年寄りが近づいてきて、「お兄さん、やめときな。ここはお前さのような素人さんが来るところじゃねえ。ケツの毛まで抜かれるぜ」などと諭す場面が、任侠映画などで見られ、見ている人は「親心のある年寄りじゃねえか」などと感心したりする(別に親心でもなんでもなくて。いかにも金を持ってなさそうな若造に、はした金で面倒を起こされるのは迷惑なので、追い返したいだけなのだが……)。

 この言葉のもとは「ケツの毛を抜く」であり、だます、たぶらかすという意味。「ケツの毛を数える」とも言うらしい。江戸時代、色街で女郎の色香に迷った男のありさまを「鼻毛を延ばす」と言い、そんな男の心理を読んで女郎が手玉にとることを「鼻毛を読む」「鼻毛を数える」、さらに進んで男をだますようになると「鼻毛を抜く」となる。この「鼻毛」の程度がエスカレートしたのが「ケツの毛(尻の毛)」ではないだろうかと推測する。そりゃあ、鼻毛を数えられたり、抜かれたりするならまだしも、ケツの毛まで抜かれてしまうのは、よほどふぬけになったヤツに違いないが、それについてはこれという証拠資料はなさそうである。

 (KAGAMI & Co.)

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