そっくり

そっくり

 そっくりとは、すべて、全部まとめてという意味。また、非常によく似ている様を表すのに使われる。前者は「一千万円そっくり持っていかれた」(何があったのか非常に気になる!)のように、後者は「となりの叔父さんにそっくりですね」(何があったのか非常に気になる!)、「日本の人気キャラにそっくりですね」(何があったのか非常に気になる!)のように用いられる。現代では後者の方が利用率が高いように感じられる。

 「そっくり」は比較的新しい言葉のようで、江戸時代中期ごろから用例が見られる。この語源について『大言海』は、似合う、つりあうという意味の「そぐう(似う)」から来ているのではないかとしている。しかし、「似ている」という意味ならそれもありかと思うが、似ているという意味の「そっくり」は、「そっくりそのまま」つまり「全てそのまま(のように似ている)」という言葉があるように、すべて、全部まとめての「そっくり」が先にあっての使用法かと考えられ、「そぐう」説は疑問が残る。

「そっくり」は、上方弁で「すっくり」ということがあり、「すっくり行てもうたろか」(何が起こっているのかよくわからないが、「行てもうたろか」は「行ってしまいましょうか」で、「痛めつけてやろうか」という意味。「すっくり行てもうたろか」は「全財産奪ってやろうか」ほどの意味かと思われる)のように使用される。「すっくり」は、「そっくり」より古い用法が見られるようなので、「そっくり」の語源かもしれない。「すっくり」は、勢いよくまっすぐ立ち上がるという意味の「すっくと立つ」の「すっくと」と同じ使い方をされるが、一つのこらず、全部という意味もあり、同様の「すっかり」と同源ではないかとも考えられる。「すっかり」は、刃物でスイカなどを真っ二つに切る擬音「すかり」から来ているという説もあるように、刃物でものをきれいに切るように気持ちいいくらい全部、というニュアンスで発せられる語のように感じられる。すっくと立つの「すっくと」もそんな気持ちよさが表されていると言えるし、その意味では「すっきり」「すっぱり」「すっからかん」などとの共通点も見て取れる。「一千万円そっくり持っていかれてすっからかんだ」というような言い方に、どことなくすっきりした気持ちよさを感じるのも(感じねえか)、そんなところから来ているのではなかろうか。

 (KAGAMI & Co.)

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