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有終の美

ゆうしゅうのび

 有終の美とは、ものごとを最後までまっとうすること、優れた終わり方をすること。「有終の美を飾る」という言い方をされることが多く、ものごとの終わりになにか目立ったことをすると、この言葉を使ってほめそやされる。例えば、芸術家が亡くなる前に大作を仕上げるとか、スポーツの引退試合で大活躍するとか、連続ドラマの最終回の視聴率が高かった場合などがそれだが、ここで注意しなければならないのは、「有終の美」は、最後「だけ」が美しいのではなく、そこにいたるまでがずっと「美」でなければならないことだ。三流アーティストが最期に大作を仕上げても誰も相手にしないし、スポーツではそもそも引退試合をしてもらえるのはそこそこの選手だし、大コケした連続ドラマの最終回の視聴率が高かったのは、出演者が何かやらかしたからで、どれもこれも「有終の美」扱いはされない。

「有終」は「終わり有る」と書き下されるが、それでは哲学論議にみたいになってしまうので、ここは「始めたことに終わりがある(最後までやりとげる)」といった意味に解釈される。『詩経』の一節に「靡不有初鲜克有终(初め有らざる靡(な)し 克(よ)く終わり有るもの鮮(すく)なし)」つまり、誰でも最後までやりとげるつもりで始めるがそれができる者は少ないとある。最後までやりとげるつもりで始めたことを人が投げ出すのは「三日」くらいが多いようである。

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