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カテゴリー:慣用句

 

口車に乗せる、口車に乗る

くちぐるまにのる

 口車に乗せるとは、巧みな話術で相手をその気にさせてだますという意味。だまされる(おバカな)側からすれば「口車に乗る」。一般の辞書には単に「だます」とあるが、「車に乗せる」という言い方から察せられるように、最終的にはだまされたとしてもいったんは「ノリノリ」ないい気分にさせられるという点がこの言葉のミソ。つまり「元本保証、年利20%」などという金融詐欺にぴったりの言い草であり、営業社員には絶対必要なテクニックである。

 「口車」の「車」は今では自動車を思い浮かべるが、「口車」は江戸時代からある言葉のようなので、当時は車といえばせいぜい荷物を運ぶ大八車であり、人が乗ってあまり気分のいい乗り心地ではない(大八車に乗せられるのはケガ人くらいのものだ)。この「車」は「車輪」を言い表していると見るべきで、車輪の回転を弁舌の巧みさに例えていると考えられる。当初の使用法では、「口車」は必ずしも人を乗せるものではないので(あんなものに乗せられたらぜったい酔う)、「五欲を運ぶ口車」のようにあくまで荷物を運ぶ車として認識されていた。したがって、巧みな話術で言いくるめられるありさまを表現する場合は「口車に迷う」のような用例がある。また、「乗る」場合でも、江戸初期からある「ふわとのる(うっかり騙される)」(『醒睡笑』1623)という慣用句に合わせた「口車にふわっと乗ったる…」のような表現が見られ、人が乗るというより(だから、乗りたくないんだってば)、精神が想像上の快適な車に乗せられるというイメージで語られることが多い。

 (KAGAMI & Co.)

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