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ピンピン、ぴんぴん

ぴんぴん

 ピンピンとは、魚などが勢いよく何度も跳ねるさまを表す語。そこから、元気よく活動する様子を表す語として、「90歳過ぎたが私の祖父はまだぴんぴんしている」のように使う。この場合、90歳過ぎた祖父が魚のように跳ねまわっている必要はなく(そんなおじいちゃんは、むしろ病気かと心配される)、健康的に生活していればよい。そもそも陸に揚げられた魚は精力がありあまって跳ねているのではなく、苦しくてもがいているのであって、「元気」という定義には当たらないだろう。跳ね回っていなくても元気な90歳過ぎたおじいちゃんのために、「ぴんぴんころり」という生き方(と死に方)の理想を言う言葉も生まれた。

 日本語は古くはbとpの音が一緒で、発音はpに近かったという。しかし、時代を経るつれてbとpはbに収斂されて、p音は反発や梱包など「ん」の後、圧迫や脱藩など「っ」の後などに、また、語頭ではパッと、ポンポンなど一部擬音語、擬態語に残るのみとなった。他に語頭にP音が来るのはほとんど外来語である。b/p音がb音に収斂する際には、まずb/p音の弱音化が見られたという。つまり、日本語は(というか日本人は)p音に見られるように、ペッペとツバを飛ばしながら大声でしゃべるようなお下品な言葉は好まれなかったのではないだろうか。

 擬音語、擬態語にしても数は少なく、江戸時代初期に成立した『日葡辞書』のPの項目を見ると、ピンピンのほか、パッパと、ポンポンなど、たったの9単語(いずれも擬音語、擬態語)しか掲載されていない。ちなみに「ピンピン」は「家畜が蹴り跳ねるさま」とあり、「ん?」ととまどってしまう説明である。家畜で「ピンピン」という感じで跳ねるのはせいぜいウサギだが、うさぎはなぜかピョンピョンだし、と思って例文を見ると、「馬がピンピンと跳ねる」(「跳ねる」は「fanuru(ファヌル、ハヌル?)」と記されている)とある。馬が跳ねている姿を現代人はあまり見かけないので、それを形容する言葉も知らないが(やはりピョンピョンかな)、擬音語、擬態語の語意も少ない時代では「ピンピン」あたりで手を打ったのではないかと考える。

(KAGAMI & Co.)

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