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関連用語
よきサマリア人、善きサマリア人
よきさまりあじん
善きサマリア人とは、『新約聖書 ルカによる福音書』にみえる、隣人愛に関する例え話のこと、また、その物語に登場する善意の人をいう。キリスト教文化圏では善意の人を表すたとえとしてしばしば用いられているが、聖書の物語を知らないわれわれにとっては、「だれ?」という謎の人物、また民族である。物語は、強盗に遭って道端で倒れていた人を、先に通りかかった祭司とレビ人は無視したが、旅行中のサマリア人が助けたというもの。永遠の命(魂の救済)を得る方法を尋ねた律法学者に対するこたえとして持ち出された例え話であり、イエスは「サマリア人は不幸な人の隣人となった」とし、あなた(律法学者)もそのようにしなさいと勧めている。つまり、「汝の隣人を愛せ」と常々語っているイエスとしては、見知らぬ人にも救いの手をさしのべることにより、魂は救われる(かもしれない)と言いたいのだろう。
サマリア人は、イスラエル北部の民族。イスラエル人とアッシリア人の混血で、ユダヤ教からは異教徒扱いされていた。ユダヤ教から異端視されていたキリスト教徒としては、同じマイノリティの肩をもったということかもしれない(そんな了見の狭いイエス・キリストではないが)。
この物語で非キリスト教文化圏のわれわれが得る教訓は、個人の行いが民族全体の評価を爆上げする(また、逆に爆下げする)結果を招くことがあるので(SNSの時代は特に)、一人一人が見知らぬ人や他民族への接し方には気をつけなければならないということ(この話からそんな教訓を得ている人は、まあいないだろうが)。
(VP KAGAMI)