待ち遠しい

まちどおしい

 待ち遠しいとは、待っている時間が長く感じられるという意味。待ち時間の長さを距離で表現した詩的な言葉であり、「夏休みが待ち遠しい」のように、待つ対象が遠くにあるように感じられ、それを期待して楽しみに待つような状況で使われる。したがって、いくらできあがりを30分以上待たされていても、となりの調理場で主人が怖い顔をしてうなぎを焼いているような状況では、「うなぎにお目にかかるのが待ち遠しいなあ」などとはなかなか言いづらい。

 「待ち遠しい」は、「お待ち遠様」などといまでも使われる「待ち遠(まちどほ)」という古い形容動詞表現から来ている。『源氏物語』にも「生い先いと待ち遠なり」つまり「将来が(楽しみで)たいへん待ち遠しい」と使われている。これを形容詞化したのが「待ち遠しい」となる。待ち遠しく何かを待っている心情を動詞化すると「待ち望む」「待ち焦がれる」「待ちわびる」「待ちぼうける」「待ちくたびれる」「待ちかねる」などが考えられ、前2者がその気分に近く、残りは待っていることにネガティブな感情を抱いている言葉である。ただし、「待ち望む」も「待ち焦がれる」も待っている対象への期待度の高さが感じられる感情であり、「待ち遠しい」の気分とはちょっと違う。「待ち遠しい」は、対象があまりに遠くにあるので、待つとはなしに待っているという微妙な感情を表していて、『源氏物語』の例文も、子どもの成長を心待ちにはしているがそれまで自分が生きていられるとも限らないというはかない気分を表現している。

 (KAGAMI & Co.)

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