舌を出す

したをだす

 舌を出すとは、人をばかにするときの動作、または、照れ隠しの動作。人をばかにする動作としては、舌を大きくゆっくり出して、「べーっ」などと言いながら行われるが、実際にそんなことをやっている人を見かけることは少なく(いい大人が「べーっ」なんてやっていると、ガキかと言われる)、慣用語として使う場合も、「私は心の中で舌を出した」のように、例えの中でさえ実際に舌を出していないという使い方をされることがままある。照れ隠しの舌出しは、舌の先端を短時間出すことで、ばかにする舌出しと区別される。これもやや子供じみているが、実際に行われることも多く、「てへぺろ」などという最近の俗語にもつながっている。

 ばかにするときと照れ隠しという、あまり関係のないふたつの態度や感情の表現に舌出しは使われるが、なぜ人はそんなときに舌を出すのだろうか。フランス語のlangueには「舌」と「言葉」という二つの意味があるように、舌は言葉の象徴である。しかし、舌は発語には使われるが、実際にそこから声が出るわけではないので、舌を出すということは「私はなにかひとこと言いたいが、言葉が見つからない」という意図の表れと考えられる。また、舌はふだんは口内に隠れているので、これを出すということは心の内のホンネをさらけ出すという意味合いもありそうだ。人をばかにするときは大きく舌を出し、照れ隠しの場合は少しだけホンネをのぞかせる。それが舌を出すことの心理ではないかと考える。

 (KAGAMI & Co.)

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