嚙む

かむ

 嚙むとは、上下の歯や二つの堅いもので、ほかのものを挟む行為を表す動詞。「よく嚙んで食べなさい」「犬に嚙まれた」「歯車が嚙む」などと使う。「食う」という言葉とかなり近い動作や状態を表しているが、食事の動作を表す場合、「食う」が食べ物を咀嚼して飲み込むまでの一連の動作を表すのに対して、「嚙む」は食べ物を歯ではさむ行為を表すにとどまる。だから、結局飲み込まずに捨てるガムは「嚙む」というのが適していて、「ガムを食う」と言うと、「それ、ガムじゃなくて、ハイチュウだろ」とツッコまれそうである。

「嚙む」の語源については、さまざまな説があるが、中に、歯と歯を合わせるときの音だろうというものがあり、筆者もこれに賛成である。「食う」も「嚙む」も歯を噛み合わせたときの口の形や音が関係すると考えられる。しかし、「食う」の場合は、「く」のときにすでに歯をくいしばっているのでよいとして、「嚙む」の場合は、「か」では口を開けた状態なので「嚙んで」いない。ところが、どういう仕組みかよくわからないが、ものを嚙む動作をイメージしながら「かむ」と発音すると、上下の歯がかちんと「嚙み」合う(嚙むことをイメージしないと噛み合わない、これひとつの不思議である)。この「かちん」と歯が噛み合う音感が「かむ」なのだと考える。(VP KAGAMI)

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