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きみ

 君(きみ)は、名詞としては君主、天皇、貴人等を意味するが、古くから二人称代名詞として用いられていた。今も昔も親しみをこめた呼びかけであることには違いないが、上代では女性が男性に対する呼びかけとして用いた。それが、徐々に男女ともに使われるようになり、現代では対等の立場の者、または目下の者への親しみをこめた呼びかけとして用いられる。会社で上司が部下を「きみ」と呼ぶことはあるが、部下が上司をそう呼ぶことはないので、この言葉が上から目線の呼びかけだというムードをぷんぷんかもしだしていることは疑いない。

「きみ」の語源は明らかではない。同じく「きみ」と読む「公」は「公達」(皇族、貴族の人々)と書いて「きんだち」と読むので、漢字の読みから来ているのではないかとする説があるが、公達はむしろ「きみたち」に漢字を当てたものと考えられるので、「きみ」は純粋な和語といえる。天皇や上位の者、または信仰の対象をさす「かみ」との関連性を指摘する説が多く、そのあたりが落とし所といえそうだ。

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