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耳にする

みみにする

 耳にするとは、聞く、強く意識せずに聞くという意味で、「最近、あなたの悪いうわさをよく耳にする」などと使う。よくわからない言い方で、すなおに読めば、なにかほかのものを耳にならせるという意味であり、実際に「全身を耳にして隣の部屋の会話を聞いた」などと使われることもある。「耳にする」は近代以降に使われ始めた言葉のようで、この「する」は、『土佐日記』の「男もすなる日記といふもの」(男もするという日記というもの)と同じく、他の動詞の代用として使われる「する」だと考えられる。『土佐日記』の場合は、「書く」「記す」「付ける」などの代用として「する」が使われていて、それら他の動詞のどれを入れても文章がなりたつという数学の変数「x(エックス)」の働きをしているのが「する」だといえる。「耳にする」は「耳にエックス」であり(アニソンの帝王かルー大柴みたいだが)、「入れる」「はさむ」「とめる」などが代入されて意味が通るようになる。しかし「耳に入れる」でも「耳にはさむ」でも「耳にとめる」でも、ちょっとニュアンスが違うという、言葉遣いにうるさい(だからといって、ズバリ定義することができない)小説家などが「x」であいまいにする「耳にする」を使い始めたのではないかと考える。(VP KAGAMI)

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