癪に障る

しゃくにさわる

 癪に障る(しゃくにさわる)とは、ものごとが気に入らなかったり、思い通りに行かないなどしていらだつ、不快に思うという意味。「あいつの言っていることは正しいんだが、その言い方がしゃくにさわるんだよ」のように、けっこう自分勝手な理由で言う場合が多い。

「癪(しゃく)」は、胸や腹に強い痛みが生じる急性疾患、また、特定の食物や不快なものを原因とするひきつけや失神などをともなう強いアレルギー疾患を総称した病名。もちろん医学が未発達な時代の病名で、現代では消化器系、生殖器系、神経系、免疫系の各種疾患が原因と考えられるが、当時は体内に棲むという「虫」が原因とされ、わけのわからない薬を飲まされたり、「寝かせておけばいまになおるさ」と放っておかれたりした(背中をなでる程度の「手当て」はされた)。癪は女性に特有の病気とされ、類似の症状を発する男性の病気は「疝気(せんき)」、子どもの場合は「癇(かん)」と呼ばれた。男性の場合は下腹部に生じ、子どもの場合は突然泣き出すとかひきつけを起こすといった症状が主で、多少の違いはあるが、要するに、女性、男性、子ども、それぞれに特有の消化器、神経系の急性疾患(原因は「虫」の)と定義してよさそうだ。

 このうち女性の癪、子どもの癇は精神的なストレスが原因で起こる場合が多く、そのため、なにかのきっかけで突然不快な感情が湧き起こる状態を「癪に障る」「癇に障る」という慣用的な言い方で表すことになる。(VP KAGAMI)

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