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バッシング

ばっしんぐ

 バッシングとは、激しく非難すること。英語のbashは、なぐる、攻撃するという意味の俗語的表現で、その名詞形がbashingだが、英語ではJapan-bashing(日本叩き。懐かしい言葉。いまは叩かれないようにステルスしてうまくやってる)のようにターゲット(この場合Japan。2021年の現在だったら、まあ、あそこの国ですね)の語尾にbashingをつけて複合語とするケースが多い。日本に持ち込まれた「バッシング」は、その窮屈な立場を離れて、「失言した大臣をマスコミはバッシングした」「環境意識の低い企業はバッシング対象となる」のように、より自由にあちこちでバッシング風を吹かしている。

 bashingを和語に訳すとしたら「叩くこと」であり、「日本叩き」の他、先の文例も「失言した大臣をマスコミは叩いた」「環境意識の低い企業は叩かれる対象となる」のように置き換えることができる。もっとも、この言い方は古くからあるので、むしろ「叩くこと」の訳語としてbashingが使われるようになったと考えられる。「叩く」もbash同様、手や物で対象を打つことを意味するが、慣用語としての「バッシング」には物理的攻撃の意味はなく(車を壊すくらいのことはあったけど)、主に言葉による攻撃を言う(でなければ、Japan-bashingなんて戦争になっちゃうよ)。一方、「叩く」は物理的攻撃の意味も含み、「日本が真珠湾を叩いて太平洋戦争の幕が切って落とされた(めちゃめちゃ叩いてますやん)」のように使われるので、その暴力性を薄めるために英語のbashingが採用されたのではないかと考えられる。つまり「口先だけの叩き」と言いたいわけで、そこには「言葉だけだから気にすんな。大目にみろよ」という心理が働いている。こういうわけで、SNSの普及ともあいまってバッシングは、「あいつをぶんなぐってやりたい」衝動を抑えきれない連中のはけ口となっているのである。

 (KAGAMI & Co.)

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